近代法の大原則である「推定無罪の原則」が日本では守られていないというゴーン被告の主張をまさかの法務大臣が追認する事態と
なってしまいました。
日本時間1月8日22時から行われたカルロス・ゴーン被告の会見を受け、森雅子法務大臣が深夜に異例の臨時会見を行ってゴーン被告を
批判しました。
ですが森法相はその場で「ゴーン被告人に嫌疑が掛かっているこれらの経済犯罪について、潔白だと言うのなら司法の場で正々堂々と
無罪を証明すべきである」と明言してしまいました。
これによって結果的に、ゴーン被告が会見で訴えた「推定有罪の原則がはびこっている」という主張を自ら証明する形になっています。
当然ですが、日本を含めた先進国の裁判では推定無罪が原則中の大原則であり、これに外れることは日本の司法が前近代的なもので
あることを自ら認めることになります。森雅子法相は自身も弁護士であり、その原則を知らないことは絶対にあり得ません。
日本弁護士連合会によると、「無罪の推定」とは、犯罪を行ったと疑われて捜査の対象となった人(被疑者)や刑事裁判を受ける人
(被告人)について、「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければならない」とする近代法の
大原則です。
被告人は無罪と推定されるこの原則により、刑事裁判では検察官が被告人の犯罪を証明する必要があります。つまり被告人は自らの
無実を証明できなくても構わず、あくまで検察官が有罪であることを証明しない限りは無罪になるということ。
この推定無罪の原則は日本も批准する国際人権規約にも明文化されており、B規約第14条2項は「刑事上の罪に問われているすべての者は、
法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する」としています。
また国内法の根拠としては刑事訴訟法第336条の「被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、
判決で無罪の言渡をしなければならない」というものが挙げられます。
こうした原則が近代法の基盤となった理由は、無罪の証明が極めて難しいことにあります。場合によっては「悪魔の証明」のようになる
ケースもありますし、加えて捜査当局と被疑者・被告人の力関係には大きな差があります。
(続く)
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