新型コロナウイルス感染の拡大が深刻化しているなか、日本国内でのウイルスを検出するための「PCR検査」の件数はあまり
増えていない。その背景には、実際に検査を行う地方衛生研究所(衛生研)および、その上部組織である国立感染症研究所
(感染研)を外郭団体とする厚労省の「縄張り意識」があったとの指摘もある。
「早急に民間の病院やクリニック、検査会社でも検査が実施できるようにすればよかっただけのことです。日本中でその気になれば、
現在の100倍の検査能力があっても不思議ではない。
しかし、厚労省は民間のクリニックや検査機関を、事実上、締め出しました。感染研は感染症の拡大防止ではなく、感染症の調査や
研究を行う組織です。彼らにとって、PCR検査で得られるデータは非常に重要で民間には渡したくないので、衛生研に一元的に検査を
請け負わせる仕組みを構築しました。しかし衛生研主体で検査するには圧倒的に人数が足りず、検査できる件数に限りがありました」
(全国紙社会部記者)
そんな日本よりはるかに検査体制が進んでいるのが韓国だ。日本は2月29日までに計7000人を検査したが、同じ期間の韓国の
検査人数は計9万4000人に達する。韓国の人口は日本の半分以下だ。日韓の差は政府の意識の差の表れでもある。
「2012年にMERS(中東呼吸器症候群)が流行した韓国では政財官ともウイルスに対する危機意識が高く、今回のコロナ危機で
韓国政府は民間メーカーに検査キットの緊急使用承認許可措置を下し、生産を促しています。おかげで『コゼンバイオテク』、
『SDバイオセンサー』などの民間メーカーが次々と検査キットを開発し、最大で1日に6万人以上のPCR検査が可能になりました」
(韓国人ジャーナリスト)
症状が出たら、すぐ検査できることも韓国の利点だ。
「韓国は国を挙げて、自動車に乗ったまま検体を採取し、約10分で検査が終了する『ドライブスルー型検査』を推進しています。
韓国の感染者数が多いのは、検査体制が確立して誰でも検査を受けられるからといわれますが、日本のように患者が検査を
受けられず不安になるケースは少ない。日韓どちらの医療体制が国民にとってメリットがあるかは一目瞭然です」(前出・
韓国人ジャーナリスト)
新型コロナウイルスの抜本対策として待たれるのはワクチン開発だが、日本における「縦割り行政」が邪魔をする。
ナビタスクリニック理事長の久住英二さんはこう話す。
「日本にはワクチンを製造するための財団法人があり、そこに国が予算をつけます。その財団法人は厚労省の天下り先であり、
ワクチン製造を独占的に引き受けています。
(続く)
返信する