安倍首相の14日の会見に日刊ゲンダイ記者も出席してきた。前回2月29日の会見より「時間が長かった」「質問が増えた」と
報じられてはいるが、“やってる感”が鼻につくのは変わらなかった。
安倍首相は例によって、まず用意された原稿を20分以上にわたって読み上げるも、「心をひとつに」「ワンチームで」と抽象論に
終始。かと思うと唐突に、「卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます」と、子どもたちへの祝辞を述べ始めた。
大規模な経済対策の金額や中身、終息への数値目標などについての具体的な数字はまったく示されず、これでは国民の不安は
解消されない。何のために開いたのかと言いたくなる空虚な内容だったが、この日の会見には“異変”があった。
通常、首相会見は記者の質問を4つ程度しか受け付けない。ところが、この日はいつもより長めに質疑応答の時間が取られた。
8人目の質疑が終わった時点で会見開始から42分ほど。進行役の長谷川広報官が会見終了を告げると、会見場は騒然となった。
「待ってください!」「おかしいじゃないか!」「これ、記者会見と呼べますか!」
首相番ではない記者たちから怒号が上がり、質疑は続行。ちなみに、NHKの中継は怒号の直前に打ち切られ、“アベ友”岩田明子記者の
スタジオ解説に切り替わっている。
結局、計12人が質問したところで「次の予定がある」と会見は終了。日刊ゲンダイ含め、まだ多くの記者が挙手していたのだが……。
動静を見ると安倍首相はそのまま自宅に帰っているのだからフザケている。
2月29日の会見でフリージャーナリストの江川紹子氏らが挙手しているのに30分あまりで会見を打ち切ったことには、世論の批判が
集中していた。メディア系労組の「日本マスコミ文化情報労組会議」は「オープンで十分な時間を確保した記者会見の実現」を求める
ネット署名を始め、3万筆超が集まった。国会でも問題視され、首相官邸の記者クラブが、今回は十分な質疑時間の確保を要請していた。
しかし、通常より多くの質問に答えたといっても再質問できないのは変わらず、NHKが最後まで中継しなかったから、会見を
打ち切って退席する安倍首相の姿や怒号は国民に届かなかった。“質問に答えてる感”を見せたに過ぎないのではないか。
午後6時から始まった会見は実質52分ほど。NHKは午後7時のニュースの時間まで中継できたはずだ。実際、トランプ大統領との
共同記者会見などは予定時間を延長しても最後まで中継してきた。
(続く)
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