元徴用工に関連する日本企業の資産現金化は、輸出規制の撤回に効果はあるのか。結論から言えば、日本がこれによって動くことはない。
菅義偉官房長官も元徴用工の判決は国際法違反の状態だと会見で述べている。それは日韓関係をより一層悪化させるだけの措置である。
輸出規制の強化はひとえに韓国の貿易管理体制に関する信頼性が損なわれたためであり、元徴用工問題とは関係のない問題である。しかし、韓国政府は当初から、日本の輸出規制の強化は元徴用工問題に関し、韓国の裁判所が日本企業の資産差し押さえに動いたことへの報復だと主張してきた。
また、日本が企業の資産現金化に激しく反発しているのは、それだけ現金化が効果的な措置であることを示していると考えており、今回の資産現金化手続きの促進は、日本に輸出規制の見直しを求める切り札と考えているのであろう。
しかし、それは日本が韓国との信頼関係に配慮し譲歩することを前提にしている。元徴用工に関する韓国の大法院の判決は、日韓国交正常化以来の日韓関係の根本を覆すものであり、国際法違反の問題である。
韓国政府がこれを材料に日本に譲歩を求めた時点で、日本は韓国、というより文在寅政権に対する信頼をこれ以上なく失墜させることになるのである。このような措置が、日本にとっていかに望ましくないにせよ、そこに譲歩はない。
こうした事実を客観的に判断できない理由は、今の文在寅政権が独善的な思考に陥っているからである。
今般の韓国の裁判所の公示通達によって、8月には新たな法廷が開かれ、資産現金化が決まるだろう。特に、8月15日の韓国の光復節(開放記念日)には反日機運が盛り上がる可能性がある。それは9月のG7に向けた外交への慎重姿勢を超えるものかもしれない。
これに対し、日本は対抗措置を取ることになろう。そして、その対抗措置は、金融面の措置を含むかもしれない。韓国のウォンは国際通貨ではないので、韓国の銀行がドルの調達を行う際には、日本の銀行が保証するなどの協力をしてきたが、これをやめれば、韓国の銀行のドル調達コストは高くなり、韓国企業の負担になる。
こうした措置を取るかどうかは今後検討されようが、いずれにせよ、韓国の日本に対する措置よりも経済的効果が高いものとなるであろう。そうなれば、韓国は経済的措置ばかりでなくあらゆる面で対抗措置を取ってくる可能性があり、それは全面的な対立に発展する可能性もある。
https://news.livedoor.com/article/detail/18373921...
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