「アベノマスク」と呼ばれる布マスクが全世帯に配布される時期が遅れるにつれて、政府の布マスクに関する説明が変化している。
当初は配布の目的を「品薄対策」としながら、最近は「再流行への備え」を強調。批判の回避に懸命な様子がうかがえる。
布マスクは安倍晋三首相が四月一日に全世帯配布の方針を表明。マスク不足が深刻な状態にあることを踏まえ「国民の不安解消に
少しでも資するよう速やかに取り組む」と訴えた。政府は五月中に一億三千万枚を配る計画だった。
だが、検品を強化したため、配布できたのは五月二十九日時点で約四千八百万枚(二千四百万組)。配布対象となる約六千三百万カ所の
四割程度にとどまる。配布完了は今月中旬にずれ込む見通しだ。
最近はマスクの供給が需要に追いつき、店頭でも入手しやすくなってきた。すると菅義偉(すがよしひで)官房長官は、五月二十日の
記者会見で「品薄状態が解消され、店頭の値段も大幅に安くなった」と、布マスク配布の計画が品薄解消に役立ったとする持論を展開した。
さらに同二十八日の会見では「次なる流行にも十分反応することができるよう、国民が保有することに意義がある」と、第二波への
備えという新たな目的を打ち出した。
首相も、緊急事態宣言の全面解除を発表した同二十五日の会見で「仮に国民全員が毎日、使い捨てマスクを利用すると、需要は
月三十億枚を超える」と、布マスク配布で需要を抑える意義を強調した。
政府は布マスクの配布経費について、計画時点では四百六十六億円と説明していた。菅氏は六月一日の会見で約二百六十億円と修正した。
内訳はマスク調達費百八十四億円、配送費など七十六億円。経費の面では当初の見積もりが過大だったことになる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/3268...
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