安倍晋三首相が打ち出した全世帯に2枚ずつ配布する布マスクが山口県内に届く時期の見通しが立たない。スーパーなどでは
既にマスクが購入数の制限なく店頭に並び、自治体への寄付も相当数に上る。厚生労働省は「東京など感染が多い地域を優先し、
山口の時期は分からない」とする。不良品騒ぎなどトラブル続きの「アベノマスク」。県民からは「今さら届いても」との声も
出ている。
スーパーの丸久(防府市)は今月に入り全88店舗で約134万枚を販売した。山口市の赤妻店では在庫も抱え1箱(50枚入り)を
3278円でワゴン売りしている。経営企画室の松田祐樹さんは「他社の店でも普通に並び、売れ行きも落ち着いている」と話す。
同市の別のスーパーでは「販売制限を解除」と書かれたチラシをつるし、ドラッグストアではレジ近くで山積みに売っている。
同市吉敷中東の主婦赤山恵美さん(45)は「ネット通販が値崩れしていつでも手に入る」と話す。手製の布マスクを使っている
山口市泉町の会社員福田衣里さん(34)も「国のマスクを待っている間に母親が送ってくれた。丈夫で安心感もあり、
もうアベノマスクは要らない」と言い切る。
県には18日までに22社から約20万枚のマスクが届けられ、各市町にも寄付が相次いでいる。
マスクが品薄状態だった4月1日、安倍首相は全世帯への布マスク2枚配布を表明。当初は5月中に全国で配り終える計画だったが、
不良品が多数見つかり、回収や検品のため作業が大幅に遅れている。山口をはじめ34県では配布が始まっていない。
厚労省の担当者は「検品作業に時間がかかり、配布が追い付かない。配り終える時期の見通しはまったく立たない」と説明。同省には連日、
「まだか」「もう要らない」との苦情電話が絶えないという。この担当者は「職員も『インターネットで個人攻撃に遭わないか』と不安の中で
働いている」と理解を求める。
アベノマスクを巡っては防府市の中村被服が「首相が地元企業に受注させる」との風評をネット上で流され炎上した。国とは別に県から
保育園などへのマスク製造を受注していたことでこじつけられたが、知名度が上がり全国から注文が相次ぐように。これまでに約10万枚を
作り、近く地元スーパーでも発売する。
騒動後に国から布マスク製造への入札参加を呼び掛けるメールが届いたが、数が桁違いに多く断った。中村顕社長(53)は「ネットでの
攻撃は大変だったが、一日も早く届けたいと社員一丸で取り組んだ。保護者から感謝の声が届き励みになったね」と振り返る。
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment...
返信する