「こんぴらさん」の呼び名と参道の785段(奥社まで1368段)もの石段で有名な、香川県の金刀比羅宮が、全国8万社の神社を包括する
宗教法人、神社本庁の傘下からの離脱を決めたことが12日、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。背景には、不祥事や疑惑が続出する
神社本庁への反発がある。
「明治神宮(東京都)が2004年、神社本庁を離脱(10年に復帰)したとき以来の衝撃だ」と、神社本庁関係者は嘆く。
それもそのはず。金刀比羅宮は全国各地におよそ600社ある金刀比羅神社(琴平神社、事比羅神社、金比羅神社)の総本宮。海上安全の
守り神として江戸時代にお伊勢参りと並んで「こんぴら参り」が盛んとなるなど、現代にいたるまで多くの信仰を集めている。
そんな讃岐の大神社が神社本庁からの離脱を決めた理由は、本編集部が報じた、神社本庁の不動産売買を巡る神社界上層部と業者の
癒着疑惑を始め、神社本庁で相次いで発覚する不祥事への嫌悪感がある(関連記事:神社本庁で不可解な不動産取引、刑事告訴も飛び出す
大騒動勃発)。
さらに、昨年の天皇陛下の即位に伴う大嘗祭当日祭にお供えする臨時の神社本庁幣帛(へいはく)料が、金刀比羅宮に届けられなかった
ことがダメ押しになったという。金刀比羅宮は「決して許されない無礼な行いであり、天皇陛下に対して不敬極まりない行為である」と
憤りを隠さない。
金刀比羅宮は5日付で神社本庁に離脱の通知書(写真)を送付。宗教法人法に基づく認証手続きを経て、早ければ今秋にも離脱が
認められる運びだ。
問題は、近年、金刀比羅宮と同じく神社本庁への反発から離脱する大神社が続出していることだ。
昨年、織田信長を主祭神とする京都市の別表神社、建勲神社が離脱。また、2017年には本編集部が神社本庁からの離脱をスクープした
大相撲の前身発祥の地、富岡八幡宮(東京都)において、離脱を決めた女性宮司が実弟から日本刀で惨殺されるという事件も起きた。
殺害された女性宮司は事件の直前、本編集部の取材に応じ、神社本庁の腐敗を訴え、「(神社本庁の実質的トップである)田中恆清氏が
神社本庁総長になったころから組織が急激におかしくなった」ことなどが離脱の理由と明かしていた(関連記事:富岡八幡宮の故・
富岡長子宮司、最後のインタビューを初公開)。
このほか、全国4万社という神社界の最大勢力、「八幡宮」の総本宮、宇佐神宮(大分県)でも、神社本庁執行部が送り込んだ子飼いの
宮司と地元神社関係者や住民らが対立し、18年には市民団体が宮司退任を求める署名活動を始めた。
さらにここにきて、各地の下部組織である各県神社庁からも神社本庁への非難の声がにわかに高まっている。
(続く)
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