通常国会が閉会した。かつては「1強」とも言われた安倍政権だが、一度決めた方針が次々に転換に追い込まれるなど求心力の
低下が目立つ。安倍晋三首相の自民党総裁としての任期は残り1年3カ月余り。自民党内では次を見据えた動きが活発化しつつある。
政府・与党は17日、野党が求める会期延長を拒否し、衆参それぞれ週1回、約3時間の閉会中審査と引き換えに閉会を急いだ。
首相官邸に戻った安倍首相は、会期を延長せずに閉会したことを記者団から問われ、「閉会中でも求められれば、政府として
ちゃんと説明責任を果たしていく」と述べた。閉会中審査に首相を呼ぶかどうかは、最終的に与党の判断で決まる。自民党中堅は
「首相は追及を受けたくないから、国会を開いておきたくないのだろう」と指摘した。
首相の足元はかつてないほど揺らいでいる。通常国会開会以降、首相は主催する「桜を見る会」や、東京高検検事長の定年延長問題
などで傷口を広げた上、布マスクの全戸配布や自宅でくつろぐ動画の投稿など、新型コロナウイルス対応も批判を浴びた。
朝日新聞社の5月の世論調査は、内閣支持率が2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来最低の29%を記録。19年5月は45%
だったが1年で16ポイント落ち込んだ。
残る任期1年3カ月の展望も開けていない。コロナ禍で政権が看板に掲げてきた「アベノミクス」は影を潜めた。今後、「第2波」が
来れば経済への追い打ちはまぬがれず、来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックの開催にも黄色信号がともる。首相がめざして
きた憲法改正も「いかに力を持った状態で退くかにかかっている」(側近議員)と在任中の発議を絶望視する声が支配的。「今後、
支持率が回復する要素がない」(自民党ベテラン)のが実情だ。
「政治とカネ」の問題も大きな火種だ。自民党を離党した河井案里参院議員、夫で衆院議員の克行前法相による公職選挙法違反疑惑は、
検察当局が詰めの捜査に入っているとされる。克行氏は首相や菅義偉官房長官と近く、法相に起用した首相の責任が厳しく問われる
ことになる。
https://www.asahi.com/articles/ASN6K7GQXN6KUTFK016.h...
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