文春記事によると、プロデューサーの河村氏はこのドラマを何度も「フィクションですから」と遺族に説明している。フィクションだから事実と違っていいと言いたいのだろう。
栄進学園と名を変えているが、誰がどう見ても森友学園事件をもとにしたドラマだと、この場面ではっきりわかる。フィクションには違いないが、「森友事件をもとにしたフィクション」なのだ。
そうであるからこそ、大筋の事実には忠実であるべきだ。ところが、森友事件にとって重要な以下の点が変更されている。
ドラマ:総理夫人秘書が値下げ価格(12億円)を記した書面を財務省理財局長に渡し「総理の指示です」と告げる→事実:土地の値下げ(8億円)について安倍元総理の直接的な指示は確認されていない
ドラマ:理財局長が中部財務局にやって来て書類の改ざんを命じる。命じられた中にのちに自殺する鈴木氏もいる→事実:自殺した赤木俊夫氏の手記には、「現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできません」とあり佐川氏の指示を受けた幹部が修正箇所を決めたとある。赤木氏が佐川氏と直接会った形跡はない
ドラマ:自殺した鈴木氏の遺書を遺族が新聞記者・松田に渡すが、新聞社では「上からストップが」と記事にできない→事実:自殺した赤木氏の手記が遺族からフリー記者・相澤冬樹氏に託され、文春でスクープ記事となりその号が完売になる
ドラマ:遺族はテレビ局の取材を受ける決心をするが、どの局も上からの圧力で取材しない→事実:TBS「報道特集」や関西局などが遺族を顔が写らない形で次々に取材して肉声が電波に乗った
ドラマ:遺族が記者とともに元理財局長宅を訪ねると偶然本人と話ができ、彼は国会で証言した通りと言いつつも謝罪する→事実:遺族は相澤記者とともに佐川氏宅まで行ったが呼び鈴は押さず会ってはいない
ドラマ:官僚の中で二人が真実を話す気配が描かれ遺族が起こした裁判が始まる→事実:官僚の中で口を開く人は一人も出てこないまま裁判が進む。二つの裁判のうち一つは突然の認諾で終わる
事件の展開上、重要と思える箇所を取り上げてできるだけ整理して書いたつもりだが、細かすぎてわかりにくいかもしれない。
何よりまず最初の「総理の値下げ指示」の部分だが、これを描いていいならなんでもアリだ。フィクションだから事実を改変してもいいと言いたいのだろうが、改変としてあまりにも幼稚だと思う。(そして値下げ価格を増やした意味は何だろう?)
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20220129-002...
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