緊急事態宣言が解除されても届かないアベノマスクに、通知さえ送られてこない10万円の給付金……。後手後手のコロナ対応にくわえ、
黒川弘務・前東京高検検事長をめぐる問題が噴出したことで一気に内閣支持率を下げた安倍政権。ここまで追い込まれれば少しは反省して
殊勝な態度に出るかと思いきや、とんでもなかった。昨日25日おこなわれた総理会見で、安倍首相はむしろ「空前絶後」「世界最大」
「世界でもっとも手厚い」「圧倒的」「これまでになく強力な3本の矢」などという強い言葉を連発し、「何から何まで遅すぎる」という
国民からあがっている不満をスルーしたのだ。
しかも、安倍首相は、昨日の会見でこんなことまで言い出した。
「日本の感染症への対応は世界において卓越した模範である。先週金曜日、グテーレス国連事務総長は、我が国の取り組みについて、
こう評価してくださいました。我が国では、人口当たりの感染者数や死亡者数を、G7、主要先進国のなかでも圧倒的に少なく抑え込むことが
できています。これまでの私たちの取り組みは確実に成果を挙げており、世界の期待と注目を集めています」
日本のコロナ対策が世界の期待と注目を集めている……? さらに安倍首相は、自信満々にこう述べたのだ。
「価値を共有する国々と手を携え、自由かつ開かれたかたちで、世界の感染症対策をリードしていかなければならない」
「我が国のこれまでの経験も活かしながら、世界の感染症対策、コロナの時代の国際秩序をつくり上げていく上で強いリーダーシップを発揮
していく」
つまり、安倍首相は意気揚々と「日本のコロナ対策は大成功! これからは我こそがリーダーシップを発揮して世界のコロナ対策をリード
していく」と宣言したのである。
窮地に立たされて足元を見直すのではなく、「日本スゴイ!」と煽って自分の手柄を勝ち誇る──。いかにも安倍首相らしい姿勢だが、しかし、
安倍首相が披露したこの自画自賛は、実際には「都合の悪い事実」がすべて省かれたものだ。
たしかに、「人口当たりの感染者数や死亡者数を、G7、主要先進国のなかでも圧倒的に少なく抑え込むことができている」という事実に
間違いはない。そして、海外メディアもこぞって日本のコロナ対策に目を向け、記事にしている。
しかし、それらの記事は、“最悪の対策しかできていなかったのに、どうして?”と懐疑的な見方を示し、さらには“抑え込めたのは安倍首相の
手腕ではなく国民の習慣のおかげ”と指摘しているのだ。
たとえば、アメリカの外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は、日本の新型コロナ対策を「何から何まで間違っているように思える」と指摘。
にもかかわらず「不思議なことに、すべてがいい方向に向かっているように見える」として、「日本がラッキーなだけなのか。それとも優れた
政策の成果なのか、見極めるのは難しい」としている(朝日新聞26日付)。
(続く)
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