アメリカ産生鮮ジャガイモの輸入解禁における防疫上の危惧について
一般流通(生食用)による防除コントロールの限界
現在輸入されているポテトチップス用(加工用)は、「工場へ直送・即加熱」されるため農地へのリスクがありませんでした。
しかし、一般流通用として生ジャガイモが家庭や飲食店に届くと、付着した「土(泥)」や剥いた「皮」が一般ゴミとして廃棄され、日本の農地や土壌に病害虫がダイレクトに接触する経路が物理的に完成してしまいます。
港での検疫をどれだけ強化しても、家庭に届いた後の流通・廃棄を追跡・管理することは不可能です。
土壌線虫(センチュウ)という「一度入ったら終わり」の絶望
米国に存在する「ジャガイモシロシストセンチュウ」などの土壌病害虫は、目に見えないほど小さく、土の中で卵のまま10〜20年以上も生き残り続けます 。
現代の科学技術(農薬など)をもってしても一度侵入を許した土壌から完全に根絶することは事実上不可能であり、産地が壊滅的な打撃(長期の植付制限など)を受ける「やり直しのきかない恐怖」があります。
ポストハーベスト(収穫後農薬)による食の安全への懸念
長距離輸送中の発芽やカビを防ぐため、米国では収穫後に「発芽抑制剤」などの農薬(ポストハーベスト)が散布されるケースが一般的です。
日本では収穫後の農薬散布が原則禁止されているため、日本の農業・土壌への汚染リスクだけでなく、消費者の口に入る「食の安全」に対する直接的な脅威としても強く懸念されています。
このように、単に「外国から虫が入ってくる」というレベルの話ではなく、「日本の土壌そのものが汚染され、国内のジャガイモ産業全体が二度と立ち直れなくなるかもしれない」という物理的な防除の限界が、防疫上の本質的な危惧となっています。
国は厳しいリスク管理措置や現地査定の要求でハードルを上げ、現場は署名や世論を武器に政府の背中を押す形で、総力戦による対抗策が講じられています。
不条理な治外検疫権
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