米国と調整中の構想では、自衛隊が運用する有人の新型戦闘機を造る前提で協力を進める。米側が以前示した
既存機の混合型とする案は採用しない。開発費の大半を日本が負担することによって、改修の自由度を担保する。
戦闘機が任務を遂行する上で根幹の機能となるレーダーやセンサー、電子戦装備を制御するミッションシステムは日本が担う。
連携する米企業は1社に限定しない。
英国とは共同開発の形態は取らないものの、技術を補完し合う。英国では新型戦闘機「テンペスト」の開発計画が進行しており、
日本に戦闘機のシステムや電子機器の共同開発を打診したこともある。ただ日米英3カ国の共同開発では日米同盟の優位性が
保てないと判断し、技術協力にとどめることとした。相互の開発計画で提供できる範囲の技術を提示し合うことなどを想定している。
日本の防衛産業では三菱重工業や東芝、IHIなどが関与する予定だ。これらの企業は次期戦闘機への搭載を念頭にステルス機を
探知する高出力小型レーダーや高出力のエンジンなどの研究を始めている。具体的に機体の各部をどの企業が担当するのか
防衛省が詳細を詰める。河野太郎防衛相は「将来の改修の自由度、能力向上の自由度を確保することは非常に大事なことだ」と強調する。
最終決定までには曲折も予想される。1980年代に開発計画が持ち上がったF2戦闘機は当初、日本主導の開発となる予定だった。
しかし、日米貿易摩擦のあおりを受けて米国が主導権を握った。その結果、戦闘機の機密にあたる基幹部分の設計が日本に開示されず、
改修が自由にできない機体となった。
日本に防衛費の負担増を求めるトランプ米大統領は、次期戦闘機の開発計画にも関心を示しているとされる。
年末までに日米の担当者間で調整を続け、開発費や製造分担率について最終方針を固める。
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