当院で COVID-19 肺炎症例にファビピラビル(アビガン)を試用した経験を報告する。
症状が直線的に増悪するなか発症 8 日目に投与開始し翌日より軽快した。
入院翌日以降 38℃台の高体温が続き徐々に倦怠感が強くなった。第 6 病日から乾性咳嗽が出現し呼吸回数が 17 回/分まで増加し、SpO2 95%(室内気)に低下した。第 8 病日には労作時呼吸困難感の訴えがあった。
症状、検査データともに増悪し、さらに急激な悪化のリスクがあるものと考えられた。この内容を患者に説明したところファビピラビル(アビガン)の使用を希望した。
あらためてインフォームドコンセントをおこない、効果に期待をもつものの現状でエビデンスが不足した治療 であることを強調して投与を開始した。
投与初日は夜間に SpO2 90%台前半となり酸素投与を考慮したが第 9 病日は体温 36℃台で推移し午後には室内気でSpO2 97%まで回復した。3 回の下痢があったが第 10病日には軽快した。
第 10 病日に呼吸困難感や倦怠感が軽快し味覚が回復した。
血液検査では CRP,LDH 値が低下し AST,ALT 値は正常値になり、尿酸値が上昇した(Table 2)。
第 13 病日に実施した血液検査血では血小板数が著増、LDH 値が正常値になり CRP 値はさらに低下した。
回復を示す内容であると判断した(Table 2)。第 13 病日、14 病日に連続して遺伝子検査結果が陰性で退院基準を満たしたためファビピラビルを 15 病日夜で投与終了とした。
第15 病日の胸部 CT では肺野の斑状陰影は一部に残存するものの改善を認めた(Fig.3)。
16 病日に全ての症状が消失し退院した。
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