安倍首相が16日、緊急事態宣言の対象を全国に拡大したが、唐突感は拭えない。夜8時すぎから開かれた新型コロナウイルス
対策本部会合で、安倍首相はこう説明した。
「拡大することによって、全ての国民の皆さまにさらなる協力をいただくことになる。緊急経済対策においては、収入が著しく減少し、
厳しい状況にある家庭に限って1世帯当たり30万円を給付する措置を予定していたが、これに代わり、さらに給付対象を拡大した
措置を講ずべきと考える」
つまり、全国拡大は自公与党に突き上げられた一律10万円給付の根拠づけ。二転三転の後手後手対応で丸つぶれの自身のメンツを
少しでも守るための言い逃れだろう。
迷惑を顧みない安倍首相の保身に付き合わされる全国の知事もたまらない。「正直驚いている」(平井伸治鳥取県知事)、
「突如決まりましたので、個人個人の不安感が変化する可能性もある」(中村時広愛媛県知事)、「集中的に対応すべき策がぼやける
のではないか」(吉村洋文大阪府知事)と早速、懸念の声も次々上がっている。
今月7日の緊急事態宣言でも事前調整が足りず、休業要請の対象業種などで東京都とモメたが、それが今回は全国規模だから混乱は
必至。また、全国一律の発令ではあるが、すでに対象の7都府県に加え、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6道府県を新たに
「特定警戒都道府県」に指定するダブルスタンダード。指定外の自治体には緊急性が分かりづらい。いったい何をどうしたいのか。
安倍首相は錯乱状態としか言いようがない。
「全国拡大に先立つ諮問会議や国会報告も西村“コロナ担当”大臣に任せて出てこなかった。先頭に立って危機に立ち向かう
リーダーシップを見せることもできない。星野源さんの動画に便乗して優雅な休日をSNSにアップして批判された一件でも、
何も考えていないことが分かります。側近官僚の振り付けで動いているだけなのでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
安倍首相は17日午後6時から官邸で記者会見を行う予定。地ならしは西村大臣に丸投げし、見せ場だけ独占する。そんな
「やってる感」演出のパフォーマンスこそ不要不急だ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/27202...
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