本日、新型コロナの緊急経済対策を盛り込んだ2020年度補正予算案が参院本会議で可決、成立した。本サイトでは繰り返しお伝えしてきたが、
安倍政権はこの補正予算案のなかで、新型コロナ収束後に実施するという観光・飲食などへの消費喚起策「Go Toキャンペーン」に
1兆6794億円を計上。これには「収束後の予算を付けている場合か」「そんな予算があるなら医療現場にマスクや防護服を!」といった批判が
殺到、野党も先送りを求めていたが、これを与党は蹴ったのだ。
だが、本日おこなわれた補正予算案の審議では、さらにとんでもない発言が飛び出した。新型コロナ対応で全国の医療現場から悲鳴があがるなか、
安倍首相と加藤勝信厚労相はなんと、病床削減の推進を明言したのである。
そもそも安倍政権は、医療費削減を狙った「地域医療構想」を掲げ、その実現のためとして「病床のダウンサイジング」を打ち出した。これは
その名の通り、入院ベッド数を減らすことで医療費を削減しようというものなのだが、さらに政府は昨年9月に「再編統合の議論が必要」だとする
全国424の公立・公的病院を名指ししたリストを公表。名指しした病院がある都道府県に2020年9月までに統廃合の結論を出せと迫り、一方、
統廃合や病床削減をおこなう病院には全額国費で補助金を出すとし、このために2020年度予算で84億円を計上。これらの施策により、2025年度
までに全国の急性期病床を約20万床減らすという。
しかし、新型コロナの感染拡大によって、医療機関の病床不足が深刻化。感染症指定医療機関の専門病床ではない一般病床や、感染症が専門
ではない一般の病院も、院内感染に怯えながら患者の対応に追われていることは、周知のとおりだ。
病床が圧倒的に足りないと現場から悲鳴があがっているいま、まさか逆に病床を減らすなんてバカなことをやるはずがない。そんなことは
当たり前だ──。そう思いきや、安倍首相と加藤厚労相は、きょうの衆院予算委員会で、まさかの答弁をおこなったのである。
この問題を取り上げた国民民主党の森裕子参院議員は、病床削減のための補助金84億円、さらに「地域医療構想」の達成に向けた医療機関の
施設整備事業に560億円、計644億円が投入されていることについて、安倍首相をこう追及した。
「公的病院の病床数の削減に644億円。なんでいまさらやるんですか! 支離滅裂ですよ! どうやって地域の医療提供体制を充実させようかと
いうときに644億円もかけて、ダウンサイジングですか。中止してコロナ対策に使ったほうがよっぽどいいじゃないですか! 総理!」
しかし、安倍首相が答弁を求められたにもかかわらず、加藤厚労相が手を挙げ答弁席へ。そして、こう言い放ったのだ。
(続く)
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