安倍首相が、緊急事態宣言の延長をする方針を打ち出し、きのう国民に「ある程度の持久戦は覚悟しなければならない」と訴えた。
だが、安倍首相は「持久戦」を国民に強いるだけで、やるべきことをまったく実行できていない。実際、「PCR検査体制を1日2万件に
増やす」と国民に宣言してからもうすぐ1カ月を迎えるが、いまだその半分の1万件にも届かない状態にあり、宣言解除の判断材料となる
感染状況がわからない状態にあるからだ。
しかも、呆れたことに、4月29日におこなわれた参院予算委員会では、国民民主党の森裕子議員に国内の感染者数を訊かれても
答えられず、なんと1分以上も狼狽。しかも答弁に立つやいなや「質問通告をされていない」と言い訳しはじめ、この驚きの発言に野党が
ざわつくと、「それはそうですよ。だって、これに書いて、これに、これに、これに書いてないじゃないですか」などと開き直ったのだ。
この国の新型コロナ対策の陣頭指揮を執り対策本部の本部長である人物が、感染者数も答えられないって……。百歩譲って、現況の正確な
数字ではなくてもせめて大まかな数字でも述べるべき場面だが、それができないなら素直に「いまは正確な数字を把握していない」と
言えばいい。だが、それもせずに、「質問通告してない!」と逆ギレして喚き立てたのである。
この醜態はまたたく間にSNS上で拡散され、〈自国民の感染者数を知らないってヤバくない?〉〈バカか?わたしたちのリーダーは
バカか?〉〈この政権下の日本は、コロナで焼け野が原になってしまうのでは?という不安しかない〉などの意見が殺到。元格闘家の
高田延彦は〈これじゃあな。言葉もないね〉とつぶやき、作家の平野啓一郎は〈彼が首相で、この危機を乗り越えられるとはとても
思えない〉、松尾貴史は〈事前通告がないと、立場上把握していなければならない感染者数について関心がないことがバレてしまう
わけです〉とツイートしたが、まさにそのとおりだろう。
しかし、安倍首相が国内の感染者数を答えられないことよりももっと酷い事実が、昨日の国会では明かされた。
4月30日の参院予算委員会では前日につづいて森議員が質疑をおこない、PCR検査数が一向に増えないにもかかわらず、安倍首相が
「2万件まで能力を上げていきたい」などとずっと同じ説明を繰り返していると指摘。解決するためにどうするのかと追及したが、
安倍首相は答弁席に立たず、代わりに加藤厚労相がキレ気味にこんなことを言い出したのだ。
「これ、前から申し上げておりますように、能力があるから使うってものではなくて、本当に必要な量をしっかり検査する。もしそれが
能力が足りなければ能力の……能力の拡大を図っていくということが当然のことであります」
「能力があるから使うのではなく、本当に必要な量を検査する」──。ようするに、加藤厚労相は、PCR検査の「能力」が2万件あろうが
4万件あろうが「必要な量」しか検査しない、と述べたのだ。
(続く)
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