「アベノマスク」に虫やゴミの混入、カビの付着があったことは厚労省も認めていることで、だからこそ4月23日に布マスクを納入した興和、
伊藤忠商事は未配布分の回収を発表。妊婦・介護施設など向けの分と合わせて約8億円をかけて検品作業をおこなう、と政府は発表している。
だが、結局、こうして国民の手元には、虫入りのアベノマスクが届いているのが実態なのだ。無論、虫やゴミがついているのかわからないまま
着用している人も多いはずだ。
だからなのだろう。自宅に届いたアベノマスクの画像と観察結果を公開した海堂氏は、続けて「アベノマスク」の着用に対し、こう警鐘を
鳴らしている。
〈医療従事者として市民のみなさんに「健康を守るために言えるアドバイス」としては「アベノマスクは絶対に着用すべからず」ということです。
医療現場では、清潔を担保できないものは使用しません。一般だからそこまで厳密にしなくてもいいのでは、という考えもありますが、さすがに
ゴミや虫がいるとわかっているマスクは、もはやマスクの体をなしていません。〉
安倍首相は“布マスクを配布したから市中のマスクの品薄状態が解消され、価格も下がった”などと主張しているが、バカも休み休みいえ、
という話だろう。アベノマスクが届く前から品薄状態は解消されつつあったし、そもそもマスクは「感染拡大防止」のためのものだ。しかし、
「アベノマスク」に感染を防ぐ効果は期待できないという検証結果もある上、まだゴミや虫がついているのだ。海堂氏が「アベノマスクは絶対に
着用すべからず」「ゴミや虫がいるとわかっているマスクは、もはやマスクの体をなしていません」と述べるのは、当然のことだろう。
しかも海堂氏は、たんに「アベノマスクは絶対に着用すべからず」と勧めただけではない。より重要なのは、どうして安倍政権はこのような
シロモノを平気で国民に送りつけられるのか、その根本的な問題にまで言及していることだ。
〈これは官邸主導、厚生労働省が実行部隊で実施している国策です。国民の健康を考えているとはとても思えません。どうしてそんなことに
なってしまったかというと安倍政権は経済効率最優先の、新自由主義政策を採っているからです。〉
つづいて、海堂氏は新自由主義が〈豊かな者はますます富むという格差を広げる政策〉だと喝破し、さらには日本での提唱者が〈パソナ
グループ取締役会長の竹中平蔵さん〉だとまで触れた上で、〈(中南米などで)とうの昔に破綻した新自由主義政策を持ち出し、もてはやした結果、
福祉予算削減によって衛生面が軽視されるようになった。その流れで「ゴミノマスク」や「ムシノマスク」を配布して平然としている政府ができて
しまったわけです〉と解説している。
この指摘は「アベノマスク」のみならず、PCR検査の遅れなどの安倍首相による新型コロナ対応全般にも言えることだ。安倍政権は小泉政権以来の
新自由主義路線を推進し福祉や公的医療サービスを縮小させつづけているが、今回、すべてが後手後手になった背景には、この政権に染み付いた
社会福祉の軽視があるのは間違いない。
(続く)
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