新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認された今年1月以降、感染の拡大防止に取り組んだ関係者らは何を考え、
どう行動したのか。インタビューで振り返り、再流行への備えに何が必要かを考える。
−最も危機感を抱いたのはいつか。
3月に入り、欧米由来のウイルスが日本に入ってきたところだ。イタリア、フランス、スペインが軒並みオーバーシュート
(感染爆発)し、欧米帰りの人から感染者が出てきた。
—PCR検査の能力が伸び悩んだことに批判の声が出た。
専門家会議は「検査をとにかく広げないといけない」と言ってきた。特に4月は、東京で医師が必要と判断しても検査が
受けられないという事例もあり、明らかに検査数が足りないという認識があった。
—大学などの研究室にも検査機器はあったが、活用は進まなかった。
研究目的と異なり、臨床診断はミスが許されず精度が重要だ。最近、Jリーグや大相撲、プロ野球でも民間検査が始まったが、
(感染していないのに陽性となる)偽陽性などの問題が明らかになっており、検査の精度も注視するべきだ。
—感染経路を調べ、クラスター(感染者集団)を防ぐ対策は一定の効果があったとされるが、保健所の負担も大きかった。
IT(情報技術)を使って経路を追跡できるシステムを導入するべきだし、保健所の業務もなるべく軽減させるべきだ。
日本では一対一の感染ルートは少なく、クラスターが連鎖する感染が大きい。クラスターを防ぐ対策は重要だ。
—事後検証のため専門家会議の議事録作成を求める声がある。
議事概要でもエッセンスは入っているが、きちんと検証できるようにするのはいいことだ。僕らは議事録作成が嫌とは
言っていない。
—再流行に備えるための課題は。
東京の繁華街や北九州で起きた流行は今後も続く可能性がある。だが、われわれも多くの知識を得て賢くなっている。
「食事の仕方まで指示するな」という声もあるが、「大皿は避けて、料理は個々に」など新しい生活様式も示した。クラスターが
起きやすいハイリスクの場所では対策を徹底してほしい。国が検査、医療体制を整備しつつ、国民も感染が流行するリスクを
自覚して行動してほしい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/3788...
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