ダン(1993年? - 2006年11月15日)は、愛媛県松山市の市営住宅である吉藤団地で飼われていた盲目の紀州犬である。もとは捨て犬であったが、
幼い少女2人に拾われ、少女らの懸命な働きで団地に住むに至った。この出来事はのちに全国的な反響を呼び、様々な物語の題材となり、のちに
少女たちが進学した松山市立潮見小学校(以降、潮見小と略)でも長く語り伝えられている。
https://honto.jp/netstore/pd-book_02133240.htm... https://honto.jp/netstore/pd-book_02692652.htm... https://hon.gakken.jp/book/102015730... 1993年(平成5年)夏、吉藤団地に住む幼馴染みの石井希と久保田望(共に当時5歳)が、団地近くに捨てられている盲目の子犬を見つけた。団地はペット飼育禁止だったが、
2人は犬を放ってはおけず、同団地の小学生たちと協力し、秘かに団地の隅で飼い始めた。しかし子供たちだけでの飼育、まして盲目の犬の世話には限界があった。希たちと親し
い同団地の自治会長・坂本義一が協力し、彼の再三にわたる説得、盲目の犬を救おうとする子供たちの真剣な声を受け、団地の住人たちもその犬を団地で飼うことに同意。坂本
が一時的に犬を預かる保証人になり、団地の所有者でもある松山市からも飼育の許可が下りた。犬は、団地で飼うことから「ダン」と名付けられ、子供たち一同が飼い主となっ
て団地で暮し始めた。
ダンの飼育から3年後、坂本の知人でもある「愛媛子ども文化研究会」代表者の薦めで、当時小学校2年生となっていた希と望が合作で紙芝居『目の見えない犬』を製作。これ
が紙芝居コンクールの子ども部門で最優秀賞を受賞し、大きな反響を呼んだ。
潮見小では、全校行事や3年生の道徳としてダンとの交流を図り続けた。潮見小によれば、ダンの存在は道徳のみならず総合学習でも用いられており、同校の生徒が関わってい
ることもあって身近な感動話として生徒たちの興味をひきつけているという。総合学習で地元のことを調べる際には、生徒の3分の1がダンのことを取り上げており、学習を通じて
生徒が障害者や弱者をいたわる気持ちを持ち始めており、いじめなどの大きな問題はほとんど起きなくなったという。
2005年(平成17年)は潮見小創立130周年にあたり、記念事業としてダンの石像が作られ、飼い主の坂本を迎えての除幕式や、全校生徒による「ダンちゃんおめでとう集会」が
行われ、テレビなど多数の取材も訪れた。石像の費用は、同年9月に生徒たちが中心となって行われた募金で賄われた。
2010年代以降においてもダンの存在は人権教育の教材として用いられたり、ダンの命日には石像に花が供えられるなど、その存在は生徒たちに語り継がれている。
犬は目の見えない人間を助けてくれるのに、なぜ人間は目の見えない犬を助けては行けないのですか? ・・ 児童の持つ素朴な「動物愛護」の精神が、日本全国の教育を動かした。
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