テレワークを強力に推進して出勤者の7割削減を――。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が1月7日に2度目の緊急事態宣言を発令した際、
人と人の接触が減らせる出勤者削減を呼び掛けた。
しかし、首都圏の主要駅の利用者数は、2020年4月に初めて宣言を出した時は約7割減ったが、今回は約4割の減少にとどまったまま、宣言の期間は終了した。
この間、西村康稔経済再生担当相が旗を振ったものの、自身の組織で実施率が「ゼロ」だったことも発覚し、「説得力を失った」(政府関係者)。
なぜテレワークは定着しなかったのか。
西村氏は3月29日、経団連など3経済団体とのテレビ会議で「出勤者をできるだけ減らすということで、『新たな日常』の象徴でもあるテレワークを引き続きお願いしたい」と述べ、
21日をもって宣言が全面解除された後も改めて協力を求めた。
これに対し経団連の古賀信行・審議員会議長は「コロナを契機にテレワークを定着させる動きを徹底することが非常に大事だ」と応じた。
政府ではテレワーク推進の数値目標は明確には掲げておらず、駅の利用者の増減を参照に「出勤者7割削減」達成を目指した。
出勤する人が減れば昼食の機会を含めて人と人が接触する場面が減り、相対的に感染者も減らせるとの効果を見込むからだ。
西村氏は宣言の期間中、記者会見などで朝のピーク時間帯の駅利用者数を紹介した。昨年に比べて減少幅が少ないことに関し、2月17日の記者会見では、
米国と比べて日本の企業や労働者が「在宅勤務の方が生産性が低い」と答えた割合が多かった調査を引き合いに、
「効率が悪いとか(テレワークの)機材がないという言い訳は通じない。今できなくてどうするかだ」と、語気を強めて協力を呼びかけた。
前回の宣言時と比べて駅利用者が減らなかった理由について、内閣官房幹部は「前回と違って今回は学校は休校とならず、幅広い業種の休業要請をしていないからだ」と分析する。
ところが3月5日、安達澄参院議員(無所属)の質問主意書に対する政府の答弁書で、
西村氏の下でコロナ対策に当たってきた内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室(コロナ室)でテレワークの実施率が「ゼロ」だったことが判明した。
コロナ室、「ゼロ」発覚後ようやく…
https://mainichi.jp/articles/20210402/k00/00m/010/...
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