臨時国会も残りわずか。この国会ではにわかに“アベノマスク”論争が再燃した。すっかり言葉が定着してしまったが、
安倍元総理が去年の4月、緊急のコロナ対策として、すべての家庭に「1世帯2枚」を配布したあの布マスクのことだ。
「いつ在庫がはけるのかわからないのに在庫を抱え続けるのか?」
予算委員会で立憲民主党の代表代行、逢坂誠二氏は舌鋒鋭く、後藤厚労大臣に迫った。
「有効活用として希望する自治体に配布するほか、災害備蓄、地域住民への配布などで活用していく」-。
ばつが悪そうな後藤大臣はあくまでも今後も有効に活用していく方針を示した。
現在“アベノマスク”は都内の大手物流会社の倉庫に8000万枚以上が眠っている。当時1枚およそ140円という
調達コストなので金額にしてざっと112億円分。去年、政府は全世帯向け、介護や妊婦向けなど総計2億8741万枚、
総額およそ400億円で調達した(さらに発送に100億円)。
しかしながら、各家庭に届いた頃には、街にマスクが徐々に出回り始め、しかも布マスクが不織布マスクに比べ予防効果が
薄いということも指摘されるなど、“アベノマスク”をつけている人は街でも、職場でも、ほぼ皆無といってよかった。
そうこうして忘れた頃に、会計検査院が衝撃的な報告を発表した。
“アベノマスク”が再燃したのは、会計検査院の「今年の3月時点で8272万枚の在庫、保管費用に6億円」という内容を
発表してからだ。ある野党議員も「保管だけに6億あれはやっぱり衝撃だったね、追及するにはわかりやすい」と解説する。
使いもしないマスクに破格の保管料、しかもこの金額はあくまで去年8月から今年の3月までの8ヶ月の期間の値段であり、
年間にすると10億を越える額だ。
どうすれば8000万枚のマスクを有効活用できるというのか?
実はいまも政府は、介護施設などに、送料を国が負担する形で“アベノマスク”を無料で配っている。ところが、あまり効果は
ないようで、10月でマスクを希望したのは37施設。月によってばらつきはあるが、月々せいぜい数十の施設しか
手を上げないという。この調子ではまったく在庫ははけないだろう…。
(続く)
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