適菜収 作家
日本の危機管理の脆弱性をあらわにした新型コロナウイルス騒動。シャツの一番上のボタンを掛け違えれば、その下は全部ずれていく。
要するに安倍晋三が総理をやっている時点で初動ミスなのである。
桜を見る会や東京高検検事長の定年延長問題の追及から逃げまわっていた安倍は、突如スポーツ・文化イベントなどの2週間の自粛を
要請することを表明(2月26日)。その翌日には、春休みまで全国の小中高校に一斉休校を要請すると言いだした。新しいトピックを
打ち出すことで問題をごまかすいつもの手口だが、これは専門家の意見も聞かずに安倍が独断で決めたものだった。「政治は結果責任。
その責任から逃れるつもりはなく、その責任を先頭に立って果たす」と開き直っていたが、安倍がこのように言うのは、過去の事例から
もわかる通り、一切責任を取るつもりがないときである。
行動も発言もすべてがデタラメ。子供の発症、重症化は少ないのに、学校だけ閉鎖するのも意味不明。政府は学童保育(放課後児童
クラブ)を受け皿にすると言いだしたが、学校なら感染して学童保育なら感染しないのか。科学的根拠を問われた安倍は「疫学的な判断を
するのは、困難である」と答弁。無責任にも程がある。「必ず乗り越えることができると確信している」らしいが、これでは国の崩壊に
突き進んでいった先の大戦と同じだ。
国民に外出の自粛を求める一方で、安倍と周辺一味は宴会三昧。ヨイショライターの百田尚樹に批判されると、さっそく会食。
コロナ対策より百田対策。
秋葉賢也首相補佐官、小野寺五典元防衛相、ネ卜ウヨの杉田水脈もパーティーを開いていた。連日の宴会を批判された安倍は「いけない
ことなのか」だって。
2月29日の会見では、広報官が書いた原稿と事前に用意された記者の質問への返答(要するに出来レース)をそのまま読み上げ、
最後は他の記者の質問を打ち切り、わずか36分で自宅に帰っていった。
安倍はどさくさに紛れて「緊急事態宣言の実施も含めた立法措置を急ぐ」と言いだした。われわれ日本人は今、コロナウイルスと安倍
という2つの敵と戦っている。早急にやるべきなのは、一番上のボタンを外し、正確に掛け直すことだ。
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