https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202504/0018824835... 「斎藤知事が1兆円の道路ルート変更し費用圧縮」は誤り SNS拡散情報、兵庫県「事実無根の陰謀論」
兵庫県の斎藤元彦知事が、整備に1兆円かかる播磨臨海地域道路のルートを変更し、5千億円に圧縮した。それに反発し「既得権益」の議員たちが「斎藤おろし」を画策した-。交流サイト(SNS)やユーチューブでそんな言説が飛び交っている。だが、そもそも現在のルート案の大枠は斎藤知事の就任前に決まっており、県も「ルート案を変更した事実もない」と「陰謀論」を否定している。
ユーチューブには「播磨臨海道路計画の利権がやばすぎる」「播磨臨海道路の深い闇」などのタイトルの動画が複数投稿されており、いずれも10万回以上の再生回数となっている。X(旧ツイッター)でも1カ月間で2千件以上の投稿がされている。知事選について取り上げた神戸新聞の連載「あの熱狂の中で」で募集したメールにも「播磨臨海の陰謀を暴いてほしい」との取材要望が寄せられている。
担当する県道路企画課にも複数の電話が入っているというが、「事実無根の陰謀論です」と言い切る。
播磨臨海地域道路は、神戸市西区と兵庫県太子町の約50キロを結ぶ一般国道だ。1970年に構想が浮上し、県や播磨南部の市町が約20年前から要望を続けてきた。慢性化する加古川、姫路バイパス(BP)の渋滞緩和や物流機能向上が期待されており、第二神明道路-姫路市広畑区の約36キロを優先整備することが決まっている。
このルート案が最初に示されたのは、2019年。国はまず四つの大まかなルート帯を示した。この時に提示された資料によると、最もコストが高額だったのが海側のルート帯で、最大約9500億円と試算された。これがネット上で「1兆円かかる」といわれた根拠となったとみられる。
一方、4案の中で建設費が最安だったのが「内陸・加古川ルート帯」で、試算は約5900億円。海側ルートに比べてコストだけでなく、大阪・神戸方面への所要時間が短いことや、渋滞緩和効果が期待されることから、この内陸案が決定された。斎藤知事が初当選する約1年前、20年6月のことで、井戸敏三前知事の時代だった。
23年10月、ルート帯の中から詳細なルート案が近隣住民に初めて示された。示されたルート案は一部で学校敷地内や住宅地を通ることから高砂市や姫路市では反対の声も上がっており、ネット上で署名活動などが展開されている。
こうした中、SNSでは「(反対運動が活発化するのは)5千億円の計画を1兆円にしたい勢力」「井戸派は用地買収を見越して購入した土地が買い取られないことに反発した」などと「前知事派が暗躍するという陰謀論」が拡散されている。
県道路企画課は「斎藤知事がルートを変更しようとした事実はない」と説明し、「用地買収の交渉まで手続きはまだまだあり、予算が付くかも確定していない」と強調する。
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