https://diamond.jp/articles/-/36211... 「頑張って!」「かっこいい」…維新離党の3県議が“破門”されても意気揚々なワケ
兵庫県知事選の衝撃、そしてそれ以降の混乱はいまだに続いている。3月中旬には、維新の会が処分した3人の兵庫県議が新会派「躍動の会」を立ち上げることを明らかにした。さすが呆れる声が多く見られるが、ネット番組に登場した3人の表情は明るく意気揚々としてさえ見えた。この動画のコメント欄では応援の声が圧倒的であり、この正反対の受け止められ方が現在の混乱ぶりを象徴しているようだ。
「【リハック出演】破門三人衆のリハック出演前をご紹介」。これは維新の会から離党勧告を受けた増山誠兵庫県議が3月10日にYouTubeにアップした動画のタイトルだ。
同じく維新の会から離党勧告を受けた白井孝明県議、除名処分となった岸口実県議とともにエレベーターの中で笑う場面から始まり、インターネットトーク番組「ReHacQ−リハック−」の収録に向かうことを告げている。表情は明るく、所属していた党から厳しい処分を受けたばかりとは思えない。
兵庫県知事選以降、昔からのマスメディアを意味する「オールドメディア」と、インターネット上の新メディアである「ニューメディア」の対立がとかく煽られがちである。新聞やテレビでは批判的に取り上げられることばかりの「破門三人衆」だが、インターネット番組への出演を喜んでいる様子はその表情からも伺える。彼らは自分たちの発信に耳を傾けてくれるのは、このようなインターネット番組の視聴者だと信じているのだろう。
ここにSNSを使った個人による情報発信が極まるところまでいった現代の分断が見える。増山県議のYouTubeチャンネルのコメント欄を見ると「頑張って!」「期待しています!」「かっこいい」など、好意的なコメントばかりが並ぶ。
SNSには自分と似た傾向を持つ発信者やアカウントばかりが目に入りやすくなる現象があり、これらはエコーチェンバーやフィルターバブルと名付けられている。
その中でもYouTubeは特にこの傾向が顕著だ。まず自分が見た動画と類似傾向のある動画がサジェストされやすい。また、XなどのテキストをメインとするSNSは支持者だけではなく「アンチ」からのコメントも寄せられやすいが、YouTubeの場合はアンチコメントが割合として少ない傾向があるように感じる。
これは動画を見るのにはそれなりに時間がかかるため、嫌いな配信者の動画をわざわざ見てコメントする人が少ないためかもしれないし、自分のタイムラインに他の人の投稿が流れてくるXなどと違い、YouTubeは他人の部屋に赴いている感覚になるからかもしれない。心理的に、自分のホームではないアウェイの場所では批判コメントを残しづらい。
それなりに登録者数が多い配信者だと毎回見ている常連からのコメントも多く、そうなると余計にアンチコメントを残しづらくなる。
発信者からしてみれば、世間からの逆風は強くても、いったん自分のYouTubeチャンネルに帰れば温かいコメントばかりが並ぶ。これほど居心地の良い場所はないだろう。
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