日本の海洋技術については、「一部の最先端分野で世界をリードしているが、社会実装や産業化のスピードで他国(特に中国や欧米)に遅れをとっている」というのが専門家の共通した見方です。
具体的には以下のような「強み」と「弱み」の二極化が起きています。
1. 世界トップクラスの「技術的強み」
基礎研究や特殊な深海技術においては、依然として高い競争力を持っています。
深海探査: 海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの活動により、水深6,000mを超える深海での調査能力は世界屈指です。
AUV(自律型無人潜水機)の複数運用: 2017年には、3機のAUVを同時に自律運用して海底調査を行う実証試験に世界で初めて成功しました。
浮体式洋上風力発電: 深い海が多い日本に適した「浮体式」の技術開発では、世界でも先行する国の一つに数えられています。
2. 深刻な「社会実装・産業化の遅れ」
技術はあっても、それを「ビジネス」や「継続的な資源採取」に結びつける段階で他国に追い抜かれています。
資源採掘の商業化: 南鳥島沖のレアアース泥などは、2026年から本格的な採掘試験が始まる予定ですが、中国がすでに精錬工程の90%以上のシェアを握っている現状に対し、日本はまだ「採れるかどうかの確認」段階です。
AUV(自律型無人潜水機)の産業利用: 海外(特にノルウェーや米国)ではAUVが石油・ガス田のメンテナンスなどで日常的に使われていますが、日本ではまだ研究開発の域を出ていないケースが多く、政府も2030年を目標にようやく戦略を策定したところです。
造船・海洋インフラ: かつての「造船大国」としての地位は、価格競争力やデジタル化の遅れにより、中韓に大きくシェアを奪われています。
3. 浮き彫りになる課題
老朽化問題: 日本の深海探査を象徴する「しんかい6500」や母船「よこすか」の老朽化が深刻で、次世代機の開発・維持費の確保が急務となっています。
人材不足: 海洋開発に関わる技術者や船員の不足が顕著で、次世代の育成が追いついていないという指摘もあります。
総じて、「点(技術)」では勝っているが、「線(産業・防衛)」で負けているのが現状と言えます。
南鳥島沖のレアアース開発における米国との協働は、まさに日本の「技術はあるが産業化・安定供給に弱い」という弱点を多角的に補う狙いがあります。
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