埼玉県の川口市や蕨市には、約200もの「クルド系」解体会社が密集している。日本に暮らすクルド人の多くが従事しているのが、この解体業だ。ところが、この光景が、いま消え去ろうとしている。
「じつは、クルド人解体工の人手不足が深刻化しているのです。昨年10月から、ビザ(在留資格の俗称)を持っていないと運転免許が更新できなくなりました。この影響で、今年は過去一のペースでクルド人が自主帰国しています。
我々は、ビルやマンションに比べて報酬が低い一軒家の解体も引き受けることから、業界内では『最後の砦』と呼ばれていました。我々がいなくなれば関東一帯の解体業は回らなくなる。今回のルール改正は、国が現状を分かっていないとしか思えません」
事の発端は、昨年10月の「道路交通法施行規則」の改正にさかのぼる。この新規則により、在留資格がなく住民票を持たない外国人は、運転免許の更新ができなくなった。
日本人と結婚したり、子どもが日本の大学に合格したりして在留資格を得て暮らすクルド人がいる一方、難民申請が認められず、入管(出入国在留管理庁)への収容を一時的に免れる「仮放免」の状態で暮らす人も少なくない。仮放免の状態で暮らす多くのクルド人が、新規制による規制の対象となった。
仮放免は在留資格を得た状態ではなく、入管法上は「非正規滞在」にあたる。政府は'25年5月から強制送還を加速させる「不法滞在者ゼロプラン」を進めており、同年には仮放免者を含む外国人計7563人が送還されている。
影響は子どもにも及ぶ。クルド人の少年が多く在籍するサッカーチーム「FCクルド」は、活動休止を余儀なくされている。メティン・アルスランボーガン監督は言う。
「発足当初は計65人が在籍していましたが、今はその半分です。強制送還や自主帰国でメンバーが減りました。子どもたちはみんなストレスを抱えています」
強制送還に怯え、運転免許も更新できない。そうした中で進むクルド人の減少に、解体の現場はすでに悲鳴を上げている。前出のエルバンさんは、苦しい胸の内を明かす。
「すでに他社では人手不足の影響は出ています。今の仕事量が保てなくなり、元請け業者から下りてくる仕事を断ることも増えました。また、従業員がいなくなり廃業したりする会社も出てきています。この調子だと今年か来年の頭には、多くの解体業者がボンボン潰れていくと思います」
https://news.livedoor.com/article/detail/32725783...
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