10日の『報ステ』では、「桜を見る会」問題をめぐり、政府が招待者名簿のデータについて「復元することは考えていない」との閣議決定を
したことを扱った。さらに、招待客に含まれていた反社会的勢力について、〈「反社会的勢力」はその形態が多様であり、社会情勢に応じて
変化し得るものであるから、限定的・統一的な定義は困難だ〉との政府答弁書を取り上げ、一方、第一次安倍政権の2007年には「暴力団などに
加え、脅しや暴力などの手法で経済的利益を得ようとする集団や個人」と定義していたことを報道。その上で、10日の菅義偉官房長官の
会見での発言と、立憲民主党・枝野幸男代表や共産党・志位和夫委員長の発言を伝えた。
「桜を見る会」をめぐる疑惑を誤魔化そうとする政府と追及する野党という構図だが、世耕氏が鬼の首をとったかのように「印象操作だ」
などと吠えているのは、この次の場面だ。
番組VTRでは、菅官房長官が10日の会見で「国民の皆さんに説明しきれない問題点が指摘されているわけですから、そこを中心に理解を
いただけるような対応を取っていきたい」と発言し場面を伝えた。その後、ナレーションで「ただ、政権幹部とは対照的に、与党内は早くも
年越しムードが」とつなぎ、同日午後の自民党・世耕参院幹事長らの定例会見の場面に切り替わった。そして、世耕氏の「(総理は)説明できる
範囲はしっかり説明をした」という発言を報じたうえで、カットを変えて、記者から「(年内の定例会見は)いつまでやるんですか?」と
聞かれた世耕氏が「えっ?」「もう『良いお年を』というか……」と発言し、周囲と一緒に笑う場面を伝えた。
これに、世耕氏は〈私は定例記者会見が終わった後、今日の会見が今年最後になるかもしれないという意味で「良いお年を」と言っただけ〉
であり、「桜を見る会」問題についての言及ではないとクレームをつけているわけだが、まったく、寝言も大概にしてほしい。
世耕氏もツイートしているように、そもそも、この自民党の定例会見では、記者から「桜を見る会」について質問された世耕氏は「総理は
十分に説明した」と発言している。その後、質疑応答の時間が終わり、会見が閉じた直後に、幹事社の記者から「定例会見はいつまでやるのか」と
聞かれて、世耕氏が「もう」『良いお年を』というか」と応じたという流れ。つまり“年内の定例会見はこれで終わり”という意味だ。
当たり前だが、国会閉会後も野党のチームはこの問題を調査しているし、週刊誌などのマスコミも動いている。当然、これから新事実が浮上する
可能性もあるだろう。そのなかで、世耕氏が“年内の定例会見の予定はない”と宣言したということは、そうした潜在的な新事実について、
マスコミが会見で直撃し、国民に説明される機会がなくなったということを意味する。事実関係を整理しても、実際に「桜を見る会」問題を
「年越し」させているのである。
(続く)
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