日本学術会議問題で、私は先週のコラムで「野党にブーメラン」と書いたが、まさに、そんな展開になってきた。野党は追及のロジックを見い出せず、菅義偉政権の意思決定プロセスくらいしか、問題にできないのだ。なぜ、こうなってしまったのか。
立憲民主党の蓮舫代表代行は10月14日の会見で「誰のための任命拒否を、誰がどの権限で行ったのか、がまったく分からない。その部分はまさに、密室政治そのものではないか、と思っている」などと語った
そのうえで「日本学術会議の組織そのものに、百歩譲って課題があるとしても、今やらなければいけないのは、なぜ任命拒否をしたのか。その経緯の再検証が最優先だ。日本学術会議法に『内閣総理大臣が推薦に基づいて任命する』とある条文を、なぜ守らなかったのか、杉田官房副長官が人選に関与していたのか、違法行為があったのか。これに尽きると思っている」と指摘した。
この発言を見れば、追及が袋小路に入ってしまったことが分かる。
立憲民主党は当初「学問の自由に対する国家権力の介入であり、到底看過できるものではありません」などと拳を振り上げていた(
https://twitter.com/CDP2017/status/131196271736473...。だが、これでは「刺さらない」とみたのか、決定プロセス問題に矛先を変えてしまった。
それはなぜかと言えば、先週のコラムで指摘したように、学問の自由を脅かしていたのは学術会議自身だったことが、バレてしまったからだろう。北海道大学の奈良林直名誉教授が国家基本問題研究所に寄稿し、同大のM教授の研究について学術会議が圧力をかけ、研究を辞退させていたことが明らかになったのである
奈良林氏は当初「学術会議幹部は北大総長室に押しかけ、ついに2018年に研究を辞退させた」と書き、私も先週のコラムでそのまま紹介したが、その後、同氏は「幹部が総長室に押しかけた」部分を削除し「学術会議からの事実上の圧力で、北大はついに2018年に研究を辞退した」と訂正した
それでも、圧力で研究を辞退させた事実は変わらない。
北大事件の最大のポイントは「学術会議の誰が、どのように圧力をかけたのか」「北大側は誰が応対し、なぜ圧力に屈してしまったのか」という点である。私は「M教授が研究を辞退しないと、学術会議は北大の学者を学術会議の会員に推薦しないぞ」と脅したのではないか、みている。
情けないのは、左派マスコミだ。彼らは日頃、口を開けば「政府の監視が自分たちの役割」などと言いながら、この問題では野党や左翼学者の言い分ばかりを報じて、問題の真相に迫ろうとしない。私は左派マスコミをあまり見ないので知らないが、北大事件を報じた左派マスコミはあったのか。
蓮舫氏が問題視している意思決定プロセスについても、一言、付け加えよう。首相が案件を決裁するのに、官房長官や官房副長官、さらに閣僚たちを指示して、前さばきさせるのは当たり前だ。何から何まで、首相が自分1人で仕切るわけがない。
それを「密室政治」などとケチを付けているようでは、およそ子供じみていて、話にならない。野党議員はその程度、と今回の問題でも、またバレてしまった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b4a9f97c074a6d2f6b158...
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