「「地球儀を俯瞰する外交」の考えからいけば、 日中・日韓が動かなければ、例えば中国の南シナ海への進出を批判しつつ、米国や東南アジア諸国との関係を強化することで日本の存在感を高め、それを足場に再度中国・韓国と向き合う、そういう発想で焦らずに進めようと考えました。」
「村山談話との決定的な違いは、村山談話が日本だけしか見ていなかったことに対して、安倍談話は100年のスパンで歴史を捉え、当時の国際社会のありようを踏まえて議論を展開したことです。100年前、欧米諸国は世界中に植民地を抱えていました」
「侵略や植民地支配は日本に限った問題ではなく、世界全体の問題だったわけで、その 点を踏まえて戦後70年を読み直す、という問題提起をしました。そのポジティブな帰結の一つが、翌年のオバマ大統領の広島訪問、私のパール・ハーバー訪問でした」
「日米の和解に言及しましたが、2015年12月の韓国との慰安婦合意があります。これは谷内さんが非常に苦労し、1年以 上の時間をかけて、粘り腰で交渉したものです。その結果、 両国外相が国際社会に向けて記者会見を行い、いわば世界を証人にして「最終的かつ不可逆的な解決」に至ったわけです」
「これに関して、結局、文在寅政権が合意を反故にし たので、意味がなかったという批判はあります。文政権の 対応は極めて遺憾ですが、他方で一度合意したからこそ、 私たちは韓国側に「約束を守れ」と言えるわけです。理は 私たちにあると、国際社会に向けて訴えることができる」
「慰安婦合意については厳しい批判もありました。これは保守政権が持つジレンマの一つ です。外交は相手がありますから、そのなかで日本の国益を守る、国際社会での評価を高めることは容易ではありません 」
「歴史認識問題は、それが学術的な事実の究明や共有ではなく、あらゆるものが政治文書になってしまう。そのなかで漸進主義的に布石を打つということなのだろうと。村山談話から20年を経て、私たちは国際社会に向けて新たな視点を提示する談話を発表し、慰安婦合意も国際的な約束として世界に示した」
(そうした外交感はいつ頃から持っていたのか?)「第一次政権の反省が大きいですね。やはり政治家は結果を残さないといけないですから。たとえ60点であっ たとしても、国益につながるのであれば、決断し、事態を進めなければならない」
各論の賛否はあれど、長期政権で幹のしっかりした戦略論や外交ビジョンがあると、後から振り返っても場当たり的な思い出話でなく、重厚なインタビューになるというか、やはり説得力がありますね。批判されても完璧でなくとも、国益につながるなら、決断し進める、というのはまさにその通り。
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