衆院選での惨敗を受けて、立憲民主党の枝野幸男代表が辞任することが決まった。この4年間、改めて振り返ってみると、若者からの支持は一向に得られなかった。
一方、2014年の衆院選以降、若者は自民党を支持するようになっており、安定して勝ち続けている一因にもなっている。諸外国のどの国を見ても、野党の方が若者から支持を得るのが一般的だが、なぜ立憲民主党は若者からの支持を得られなかったのか。
まずこちらが決定的ではあるが、若者が求めている政策を掲げていない(一部方向性は合致していても実現性が低い)。
初期から立憲民主党を支えている60代以上の高齢者に目を配っており、そもそも本気で若者からの支持を得る気があるのかさえ不明ではあるが、基本的には高齢者向きの政策が多い。
そして肝心の経済政策が、あまりにひどい。
今回の衆院選において、立憲民主党は、「所得を再分配し『1億総中流社会』を取り戻す」(枝野代表)として、その財源を法人税の累進税率の導入、金融所得課税の引き上げを求める一方、年収1000万円程度までの個人の所得税を時限的に実質免除、低所得者に年額12万円の現金給付、時限的に消費税率5%の引き下げを掲げていた。
経済に悪影響を与える社会主義政策を掲げる一方、保守的な減税も掲げる。全方面にいい顔をしようとして、一貫性のない、あまりにも安直な政策になっている。こうした公約の弱さに加え、日々の国会活動においても、若者の共感を得ていない。
近年、「みんな仲良し」で意見の対立を避けることがよいことだという考えが若年層において広がっており、その考えが政治的な意見の対立を忌避する考えにつながっている、という指摘が一部専門家からされているが(玉川透 2020,「強権に『いいね!』を押す若者たち」)、対立自体というより、生産性の低い、不毛なやり取りに対して忌避感が強いように感じる。
また、ハラスメントのように、高圧的な態度を取る人への苦手意識も強いのではないだろうか。
また立憲民主党は「抵抗勢力」と見られており、「自民党こそリベラルで革新的」という見方が若い世代では広がっている。立憲民主党は、日本共産党、社民党と一緒に、憲法論議にさえ反対しているが、若者は議論を求めている。
そして、特に30代を中心に、民主党政権時代に経験した就職氷河期や不景気、外交の混乱などのマイナスイメージが根強く残っており、二度と期待したくない、という思いは強い。
最後に、上記全ての根底にあるのが、見ている対象である。一言で言うと、高齢者含め、ツイッター上にいるコア支持者を見過ぎだ。
しかし上述したように、近年の立憲民主党はコア支持者を中心に見据えており、あまりに左に寄りすぎている。それでは、自民党を支持している中道右派はおろか、中道左派からも支持されない。
本来は、支持母体の労働組合も嫌がるような中道右派的な政策(解雇規制の緩和など)も実現しなければならないが、もはや連合にさえ、左に寄りすぎと言われる始末である。
https://news.yahoo.co.jp/byline/murohashiyuki/20211104-...
返信する